傘をひらいて、空を

伝聞と嘘とほんとうの話。

2012-06-12から1日間の記事一覧

悲鳴として悪は成される

喉の詰まる感覚をおぼえて自席を離れた。なにかがときどき彼の喉に発生するようになって数ヶ月が経つ。何を飲んでも流れないけれども儀式めいてなにかを飲む。自動販売機の前で彼は立ち止まる。梅雨冷えの空気に肌が薄く粟立ち、よく冷えた缶が飲み物に見え…