傘をひらいて、空を

伝聞と嘘とほんとうの話。

2010-03-03から1日間の記事一覧

親切の単位

私はそのとき十八で、雨の住宅街を歩いていた。通り過ぎた家から、白い髪の小さい女の人が出てきて、待って、と大きな声で言った。私は立ち止まって彼女を見た。彼女は右手で綺麗な模様のついた小さい傘をさし、左手に、彼女が持つとずいぶん大きく見えるビ…