傘をひらいて、空を

伝聞と嘘とほんとうの話。

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

鯨骨生物群集 長男

べつに何も考えてなかった。考えてなくても、暗黙の了解、みたいなものはよくわかってた。子どものころから空気は読めるほうで、間違ったら長姉がちゃんと教えてくれて、だから中学でも高校でも、それなりに過ごした。それなりにというのはつまり、目立つ連…

鯨骨生物群集 三女

ちぇりぃちゃん、卒業式はいつう?尋ねられて無愛想にこたえる。ここ三年ほど「チェリーちゃん」という、父親しか使わないあだ名が心底いやになり、ほぼ無表情で回答している。今日は土曜日、年に一度ばかりあることだけれど、部下を連れてきて私たち姉妹に…

鯨骨生物群集 長女

きょうだいのいちばん上というのは損なものだといつも思っていた。四人もいるからいちばん上の私の責任は重い。妹がふたりいて、上の子はぼおっとしているかと思えば急にわけのわからないことを言い出して親を怒らせる。見た目がひどいから余計に腹立たしい…

伝聞と嘘とほんとうの配合

サヤカあんたさあ、嘘つくじゃん、ブログで。うん、ついてる、というか、嘘つきますって宣言して書いてるから、一般的には、嘘をつくというよりフィクションを書いてるというんじゃないかな。純粋にフィクションでもないじゃん、たまに、ほとんどそのまんま…

お利口な子猫ちゃんのお仕事

うちに来ればいい。彼は何度も何度も、従弟に向かってそう言った。まだ社会人三年目のワンルーム住まいだけれども、子どものころから知っている従弟ならそこいらにいたってとくに気にはならないし、自分と同じものを食わせるくらいの収入はある。従弟の高校…