傘をひらいて、空を

伝聞と嘘とほんとうの話。

2011-08-09から1日間の記事一覧

だからボストンに行かなかった

彼はそのとき十八で、半年前まで両親や妹と住んでいた家にひとりで残っていた。それはアメリカ合衆国の、メキシコにほど近い都市の郊外にあった。家族は日本での生活を再開し、彼は残って進学することになっていた。 彼は彼の境遇に満足していた。一人になる…