傘をひらいて、空を

伝聞と嘘とほんとうの話。

2017-10-31から1日間の記事一覧

春と歌

ぐずぐずに疲れて家路に就いた。わたしは二十三歳で、世間は不景気で、氷河期という名をつけられていて、だからとても寒くて、芯から冷えていて、世界は暗黒で、わたしのまわりには、誰もいなかった。オーロラという神話を、わたしは待っていた。こんなにも…